スケール・スペース・フィルタリングを用いた
心電図波形のP-R時間の測定
土井俊介 土井滋貴 (奈良工業高等専門学校)
1.はじめに
快適性などの生理指標を得るための簡便な装置での計測を目的にした、スケール・スペース・フィルタリング(1)を用いた心電図波形のP-R時間の測定方法を提案する。
2.P-R時間の測定
最近の工学の目指す分野の1つとして、快適さやリラクセーションなど人の生理的、身体的な効果を扱う分野がある。この場合、効果の指標として、心理指標や生理指標の測定が行われる。快適さやリラクセーションを反映するとされる生理指標の1つに心臓の動きがある。快適さやリラクセーションの度合いは図1に示す脈拍として扱われるR-R時間(間隔)の他にP-R時間(間隔)やそれらの変動係数に現れると言われている(2)。そこで P-R時間の測定を簡易な計測系で可能にするために、アーチファクトを取り除いてP波、R波の位置を見つける方法としてスケール・スペース・フィルタリングを用いる。55dBほどのゲインを持つ簡易
計測のためのヘッドアンプの回路図を図2に示す。
図1 心電図のP-R時間とR-R時間
図2 心電用ヘッドアンプの回路図
このアンプを用いて胸部誘導を計測した心電図とスケール・スペース・フィルタリング処理した結
果のフィンガープリントを図3に示す。このフィンガープリントにはP波、R波に対応した弧が存在する。この弧をトレースすればP波、R波の位置が決まるのでP-R時間を求めることができる。
3.測定例
測定例として現在筆者らが行っている、1/fゆらぎ照明の評価実験の結果を図4に示す。
図3 測定された心電図とそのフィンガープリント
図4 1/fゆらぎ照明評価実験での使用例
4.まとめ
スケール・スペース・フィルタリング処理を用いることにより簡易な計測系でのP-R時間の測定が可能になった。
参考文献
(1)J.Babaud, 他,"Uniqueness of the Gaussian Kernel for Scale-Space Filtering", IEEE Trans. Pattern Anal. Machine Intell., vol. 8, no. 1, pp. 26-33, 1986.
(2)三谷,他:リラクセーションのすすめ,大学教育出版